兄弟間で「争続」にならないよう、相続の際に複数の相続人で不動産を分ける方法をきちんと知ることが大切です。
相続不動産を分割する方法は3つあります。また、分割せずに相続する方法もあります。
◇相続不動産を分割する3つの方法
現物分割
現物分割とは、財産をそのままの形で相続する方法です。例えば、「長男は家と土地を相続し、次男は貸駐車場を相続するケース」や「1000㎡の土地を3筆の土地に分筆して、兄弟で3等分するケース」などで、もっともオーソドックスな方法です。これは、1つ1つの財産について、相続人を決める方法になります。
鑑定評価の活用ポイント
例えば、相続不動産が実家の土地と建物、月極(賃貸)駐車場、畑、借家アパート、預貯金である場合、それぞれの不動産の正常価格(市場における適正価格)を知ることで、公平な遺産分割が可能となります。
代償分割
代償分割とは、相続人のうちの一人または数人が不動産など現物の資産を相続して、他の相続人に代償金(または代償財産)を支払う形で遺産を分割する方法です。例えば、「相続財産が実家の土地と建物(市場価格2,000万円)のみのケース」の場合、長男が実家の土地と建物を相続する代わりに、長男が次男に現金1,000万円を支払うことで、価格の公平性を保つことができます。
鑑定評価の活用ポイント
上記の例で言えば、実家の土地と建物の適正価格を知る必要がありますが、一般に不動産は一物四価(市場価格、公示地価、相続税評価額、固定資産税評価額)と言われており、一般の人が不動産の適正価格を判断することは困難です。
特に市町村から送られてくる固定資産税納税通知書に記載の評価額は、市場価格(実勢価格)よりも安くなっているケースが多く、固定資産税評価額を元に代償分割を行うと、後々に兄弟間で争いの元となる可能性もあることから、争いを未然に防止するために不動産の鑑定評価を活用するのがポイントです。
換価分割
換価分割とは、分割できない財産を売却して、その売却益を複数の相続人で分配する方法です。この方法は現金に換えてから分配するので、きっちり等分することが可能となり、相続人の間で揉めるリスクは小さいでしょう。
鑑定評価の活用ポイント
不動産業者に売却の依頼を行う際に、相続不動産の適正な価格が幾らなのかをセカンドオピニオンとして知りたい場合などに、鑑定評価を活用するのがポイントです。
◇不動産を分割せずに相続する方法
共有
不動産の共有とは、一つの不動産を「持分」という割合で複数人の共有者が持ち合う状態を言います。例えば兄弟2人が1つの土地を共有で相続した場合、長男と次男がそれぞれ1/2ずつの所有権を持つようになります。これは、土地を2分割してそれぞれが相続する場合と異なり、共有名義の相続では兄弟のどちらも土地全体を使用することができます。ただし、土地を売却したり他人の貸して賃料を得る場合には、持分に応じた額だけをもらう権利があります。
ただし、不動産の共有は、共有者の1人が亡くなると、共有持分が細分化され、権利者が増えることから法律関係が複雑になってしまう恐れがあることや、共有者間で売却や賃貸の意思決定で意見が折り合わず、売ることも貸すこともできないというおそれもあることから、注意が必要です。
◇まとめ
相続にあたって、不動産の適正な価値を知りたいという場合には、鑑定評価をご利用ください。