愛知県名古屋市の不動産鑑定士事務所

【中京不動産鑑定】愛知県名古屋市の不動産鑑定士事務所

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中京不動産鑑定(不動産鑑定士事務所)
不動産鑑定士:辻憲作
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親族間売買・同族間売買における不動産の時価の求め方

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親族間売買・同族間売買では取引価格の妥当性が最も重要

親族間売買とは、例えば親から子へ不動産を売却する場合などが該当します。
また、同族間売買とは、社長個人名義の不動産を自らが経営する会社へ売買する場合や親会社から子会社へ売買する場合などが該当します。

相続対策や節税対策として、親族間や同族間での不動産取引を検討する場合、売買価格について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。このとき、血縁関係や資本関係などの縁故であるため、他人との第三者間取引とは異なり、売買価格を自由に設定することができることから、注意が必要となります。

No.4423 著しく低い価額で財産を譲り受けたとき(国税庁HP)
[平成30年4月1日現在法令等] 個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされます。著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定することになります。法人に対して譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合に、時価で譲渡があったものとみなされる「著しく低い価額の対価」の額の基準となる「資産の時価の2分の1に満たない金額」により判定するものではありません。
また、時価とは、その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいいます。
しかし、著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合であっても、譲り受けた人が資力を喪失して債務を弁済することが困難であることから、その弁済に充てるためにその人の扶養義務者から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。(相法7、平元直評5外)

親族間売買や同族間売買で、時価よりも著しく低い価格で譲渡(=低廉譲渡)した場合、時価との差額について税務署から課税される恐れがあり注意が必要です。

低廉譲渡と課税の関係について

■個人から個人への低廉譲渡
個人間の売買であれば、時価より著しく低い価額で取引をした場合、時価と譲渡価額との差額を不動産の購入者に贈与したものとみなして、贈与税が課税されます(みなし贈与 相続税法第7条)。

■個人から法人への低廉譲渡
個人から法人への譲渡の場合、時価の1/2未満で取引をした場合、時価で譲渡したものとみなして個人に対して譲渡所得課税が行われます(みなし譲渡 所得税法第59条1項、所得税法施行令第169条)。また、1/2以上の低額取引でも同族会社の行為計算否認に該当する場合は、みなし譲渡所得課税が行われる可能性があります(所得税法基本通達59-3)。また、低額譲渡により譲渡を受けた法人は、時価との差額について受贈益として課税されます。

■法人から個人への低廉譲渡
法人から個人への譲渡の場合、低廉譲渡であれば法人側は、個人との関係により寄付金(第三者)、役員賞与・賞与(関係者)等になります。個人側は法人との関係により、一時所得(第三者)、給与所得(関係者)等になります。

■法人から法人への低廉譲渡
法人から法人への譲渡の場合、低廉譲渡であれば、売主側は時価で譲渡したとして売却益が法人税が、買主側は時価で購入したものとみなされ、時価と売買価額の差額に対して、法人税が課税されます。

まとめると、以下の表のとおりとなります。

 売主側  買主側
個人から個人への低廉譲渡  所得税がかかる  贈与税がかかる
個人から法人への低廉譲渡  みなし譲渡所得課税  法人税がかかる
法人から個人への低廉譲渡  法人税がかかる  所得税がかかる
法人から法人への低廉譲渡  法人税がかかる  法人税がかかる

親族間売買・同族間売買における不動産の時価の求め方

親族間売買・同族間売買で、売買価格を決める方法は以下の方法があります。

1.公示地価・基準地価に基づき補正した価格
不動産は一つとして同じものがなく、地積・間口と奥行きの長さ、形状、敷地内高低差、接面道路幅員、嫌悪施設の有無等により、不動産の価値は異なります。そのため、この方法で価格を求める場合、適切に補正を行ったかという点で根拠が弱くなってしまう恐れがあります。

2.相続税評価額(相続税路線価)
相続税を求める根拠としての評価額であり、必ずしも適正な時価となり得るとは限りません。
過去に相続税評価額に基づく対価で親族に不動産を譲渡した事例で、税務署と納税者間で低廉譲渡の有無について争われた裁判例があります。

3.固定資産税評価額(固定資産税路線価)
固定資産税を求める根拠としての評価額であり、必ずしも適正な時価となり得るとは限りません。
特に、建物の固定資産税評価額は、築年数が新しい場合は新築時の評価額が時価の50~60%となっていることが多く、割安となり、その一方で、古い家屋の場合は経年減点補正率の下限が20%となっていることから、現実の建物の時価よりも割高となってしまうことから、時価と乖離している可能性があり注意が必要です。

4.帳簿価格
帳簿価格は会計上用いられているものであり、土地は取得時の価格であり、建物は取得時の価格から毎年減価償却費を差し引いた価格となっています。
しかし、土地は取得時から地価上昇・下落による変動があるとともに、建物についても会計上の減価償却以外の機能的減価や市場性減価などが考慮されていないことから、時価と乖離している可能性があります。

5.不動産鑑定評価額
不動産鑑定評価書は不動産の適正な価格を証明するものとして、裁判所や税務署等から高い信頼を得ています。上記1~5の中で、不動産の時価を求める方法として、最も公正かつ確実な方法です。なお、不動産鑑定評価書の作成は、日本で唯一、国家資格を有する不動産鑑定士のみに認められています。

不動産鑑定評価書を作成するメリット

1.想定外の課税リスクを大幅に軽減
不動産の適正な時価を把握した上で、同族間売買を行うことで、予想外の追徴課税リスクを軽減できる。

2.税務調査が来ても安心、不安も解消
不動産鑑定評価書を見せることで税務署を納得させることができる。

3.税務署からの信頼
適正に税務申告を行っている会社であると税務署に認められ、税務調査に入られにくくなる。

同族間・親族間での売買は、第三者間売買と異なり、身内同士で売買価格を自由に決めることができることから、税務署は租税回避のために恣意的に価格を決めていないかをチェックしています。特に同族間・親族間売買では、売買価格に恣意性がないことを税務署に証明する手段として、不動産鑑定評価書が非常に有効となります。

したがって、予想外の課税リスクを避ける為には、「不動産鑑定評価書」で適正な時価を把握した上で、同族間売買をすることをおすすめ致します。

ポイント


不動産鑑定評価書は更地15万円からご依頼いただけます。
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※複数物件の場合、複数割引あり。詳しくは当事務所までお問い合わせください。

鑑定評価費用は安くありませんが、税務調査や追徴課税になった後で後悔しないためにも、不動産鑑定評価書のご利用をご検討ください。
報酬に見合ったサービスをご提案させていただき、末永くお付き合いをさせていただきます。

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