令和元年9月19日に愛知県から令和元年の地価調査結果が公表されました。
詳細はこちらから確認することができます。
また、公示地価は全国約26,000地点、愛知県地価調査は約900地点が公表されており、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で公示地価及び地価調査価格を無料で調べることもできます。
愛知県が公表した「調査結果の特徴」によると令和元年7月1日時点の地価の動向は次のとおりでした。
(1)平均変動率をみると、住宅地は 0.9%(昨年0.6%)の上昇、商業地は3.7%(昨年3.1%)の上昇を示した。
(2)上昇、横ばい、下落地点数の割合をみると、住宅地では上昇地点数が57.2%(昨年51.9%)を占め、横ばい地点数が22.2%(昨年25.8%)、下落地点数が20.6%(昨年22.4%)となった。
また、商業地では上昇地点数が69.7%(昨年65.3%)を占め、横ばい地点数が17.8%(昨年20.7%)、下落地点数が12.4%(昨年14.0%)となった。
名古屋市の場合、名駅周辺の地価は高止まり傾向で、栄など中区への回帰がみられるようです。
ただし、今後の地価動向については、昨今の米中貿易摩擦やサウジアラビアの石油施設攻撃、日韓関係、アメリカFRBの追加利下げなど、今後の世界経済情勢の動向のみならず、10月1日の消費増税が国内経済に与える影響を十分に注意する必要があると考えます。
不動産鑑定士が鑑定評価を行う上で遵守する不動産鑑定評価基準には不動産の「今日の価格は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである」という文言があります。
不動産の価格は常に変化するものですので、現在の都市部における地価の上昇基調が永遠に続くことは基本的にはありません。
では、土地価格が今後どのように変化していくか、まったく予測することはできないのかというと、そうでもありません。
不動産の地価の趨勢を判断する参考材料の一つとして、月例経済報告があります。
月例経済報告は膨大な統計資料に基づいた政府の判断であることから、信頼性は高いと思います。
そうすると、政府が毎月発表する月例経済報告を毎月比較して読むと、最近の月例経済報告では、政府の景気判断は徐々に下方に修正されていることが分かります。
昔から「風が吹くと桶屋が儲かる」という言葉がありますが、これと似ていることが不動産の価格についても言えます。
すなわち、不動産の価格が都心部において上昇しているのは、(実際はもっと複雑ですが、単純化した説明をすると)・・・
「外国人観光客の増加→ホテルの稼働率が上昇→ホテルの宿泊料が上昇→ホテルビジネスに商機→ホテル建設用地の需要が増加→土地価格の上昇」
という好景気の状況になります。
以前と比べると東京、大阪、名古屋のビジネスホテルの宿泊料金が高くなったと思いませんか?これも、インバウンドの拡大によるものだと考えられます。
一方で、インバウンドや国内経済に陰りが出た場合は、この逆となり、土地価格に対する下落圧力が強まります。
では、住宅の場合や農地、山林の場合はどうでしょう?
みなさんも、ご自身が所有する不動産の価格が今後どうなっていくのか、この機会に一度考えてみてはいかがでしょうか。